目指せ早期退職!及び腰でFIRE

中小企業のサラリーマンが定年を目前にプチFIREしようという話。

FIREと『八つ墓村』

横溝正史著『八つ墓村』(角川文庫)を読みました。
いま、なぜ『八つ墓村』なのかって?

1、ミステリ小説からマネー本へ

私はまあまあ本を読むほうで、主にミステリ小説を中心に読みます。
好みの作家の出たばかりの新刊を読むことが多く、年末の『このミステリーがすごい』が出る頃には、ベスト10に入る作品の7割がたは読んでいる、という感じです。
書店のレジにはあまり財布の中身を気にせず持っていく感じでした・・・かつては。

それがここしばらくFIREという考えにとりつかれて以来、読む本にマネー関係の本が占める割合が増えてきました。
殺人事件の犯人やら密室トリックの謎を考えてなんていないで、おのれの行く末を考えろ!という気持ちになってきたのです。
本格ミステリになればなるほど、何か馬鹿ばかしさが増してきます。
あんなに好きだったのに!

2、新刊本から中古本へ

FIRE民の皆さんが、断捨離をして結構質素に暮らしているのを、ブログ等を通して知るようになり、私自身もつみたてNISAの運用益がビミョーなのを見て、1冊2千円かそこらするハードカバー本を買うのに躊躇する気持ちが生まれてきました。
そんなわけで中古本屋の100円均一コーナーで発見した『八つ墓村』を読むにったというわけです。

でも同じ100円本でも、ほかにいくらでもあろうになぜ『八つ墓村』なのか?
東野圭吾なんかどれを読んでも間違いなく面白いぞ!
でも何かそれでは東野先生に申し訳なくてね。
東野先生が苦労して書いた本を著者に印税も払わず、それを作った出版社にも還元せず、100円で読んでしまっちゃあね(同じことをレンタル店のDVDにも感じます)。

では横溝先生はいいのか?死んでるからね。
印税は著者の死後50年は相続人にいくんだろうけど、相続人が書いたわけではないし、などと理由をつけて現在活躍中の作家さんの本は中古本ではなく新刊本を買う、という自分の決まりにしようかなと思うわけです。

3、だいたいのあらすじ

かつて落ち武者が村に匿われていたのですが、村人たちが落ち武者が隠していると思われる金に目がくらんで8人の武者を殺害。
その後たたりを恐れた村人たちは8つの墓を建てる。

時を経て現代。
村の中でも有力な家のひとつ田治見家の主人が粗暴な男で、妻のほかに妾を監禁するかのように囲って暴力を振るい、妾は子供を連れて逃げ出してしまう。
腹を立てた男は狂ったように村人を殺しまくり、自身は山中に姿を消してしまう。

妾の子の辰哉(主人公)は、家を継ぐべき人として村に招聘される。まさか自分がそんな人物の子とは知らずビクビクもので村に来るのだが、その間にも事件が連続する。
ある晩、自分の居室の隣に謎の洞窟への入口があるのを知り・・・とここから、ほぼ洞窟の話になります。

4、女房とたたりは新しい方がいい

ここからは感想です。
「こんな洞窟ばっかり出てくる話だったのか!」というのが最初の印象です。
「たたりじゃー!八つ嘉村のたたりじゃー!」と叫ぶおババと、頭に懐中電灯を差して日本刀を振り回し、猟銃をぶっ放すおっさんのビジュアルの印象が強くて、こんなに洞窟をウロウロする話とは思っていませんでした。

しかも金田一耕助の活躍が全然目立たない。
事件に巻き込まれた主人公の手記という体裁なので、金田一は主人公のもとをちょろちょろと訪れる妙なヤツ、という描かれ方になっています。
そして結構な人が殺されてからやっと事件を総括するという、名探偵なのかどうか疑いたくなるのは連続殺人ものの常ですね。

しかしこの本はおどろおどろしい内容に反して、読後感がいいのです。
映像作品はそうでないものもあるようですが、これは原作が正解ではないでしょうか。主人公の手記という形も成功しています。

5、映像化作品について

金田一シリーズといえば、私が中学生になる頃に始まった古谷一行主演のTV版です。
当時は角川書店のメディアミックスが全盛期のときですね。
なにしろ古い番組で、その後もあまり再放送でお目にかかることもなくあまり覚えていません。
古谷・金田一が宿屋の一室で事件の要諦をメモしては、考えに行き詰まって逆立ちしたり、日和警部が「よし分かった!犯人はこいつで間違いない!」と杜撰な推理をするところしか記憶にありません。

Wikiで調べると『八つ墓村』は何度も映像化されているようですが、登場人物が多いこともあって、設定が簡略化されていたり、犯人の動機が変更されていたりするようです。
特に古谷版のTVシリーズは後半に大幅な改編があって、やや破綻ぎみのようです。
野村芳太郎監督・渥美清金田一映画版はオカルト色が強いとか。

いずれも原作でヒロインであるはずの女性がフィーチャーされていない、ということもあるようです。
Wikiの記事だけで判断するのもアレですが、この原作が映像化作品よりは相当緻密に考えられ、よく練られた完成度の高いものであるのは確かなようです。
なので映像化作品で見た人も原作を読んでみることをお薦めします。

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